2017年4月4日火曜日

Fastigium:Dead Endレビュー:大量の雑魚ゾンビが迫り来るL4Dライクな良作VRシューター


高難易度のサバイバルゾンビシューター登場!

Fastigiumは2作存在する。
無料で遊べる、所謂体験版の位置づけのFastiguim
どのような雰囲気かは、こちらを遊べば把握出来るだろう。
ダウンロードはこちらから
http://store.steampowered.com/app/552960/

そして製品版であるFastigium:Dead Endだ。
価格は498円と割安ではあるが、傑作の部類に入る。

Fastigiumは定点防衛、所謂Waveシューターに当たるのだが、
本作、Dead Endではマップを進んでいき、ゴールに辿り着くのが目的になっている。
道中には回復アイテムがいくつか設置してあったり、少し寄り道が出来る部屋なども存在する。
ちょっとした探索要素もある、本当にほんの少しだけであるが。


ホラーとゾンビとシューターのバランスが非常に良い。

移動はテレポートスライド式で、ポインタで指定した場所にゆっくりスライド移動する。
移動速度はそこまで早くない、むしろ遅いくらいだ。
そのおかげで酔わないが、移動速度が遅くやきもきするのだが、
これはこれで後述するゲームデザインと噛み合っているので、意図的なモノだろう。

Fastigiumでは足元にレンチや刀、ピストルやサブマシンガンなど、
様々な武器が落ちており、それらを自由に装備して戦う事が出来たが、
Dead Endでは武器は両手にダブルバレルショットガンと、
グリップを握るとショットガンから日本刀に持ち変える事が可能だ。
武器を固定したお陰で、プレイの幅は狭くなったが、操作性での快適さは向上している。
またショットガンと刀という組み合わせは、後述するゲームデザインとも噛み合っており、
とてもスムーズなゲームプレイが行える。


見えにくいが、ゾンビの頭付近に刀が映ってます

本作の特徴として、VRでゾンビ撃つ奴の中でも、ゾンビの同時出現数が非常に多いという事だ。
既存のゾンビゲームは同時に数体程しか襲ってこず、
アリゾナサンシャインなどでも10体程くらいしか襲ってこない。

本作も普段はそこまでゾンビは出現しないのだが、
ラッシュ時には何と数十体まとめて登場し、こちらを襲ってくる。
ゾンビも歩くだけの個体もいればダッシュしてくるJKゾンビに、トマホークブーメランを使うおっさん …
更には種類は少ないが、特殊感染者も登場する。


普通に怖い。

そして極めつけは数体だけだが、巨大なボスゾンビも登場するのだ。
そのデザインと強さは凄まじい。
VRゾンビゲームにボス自体中々おらず、ボスゾンビが存在してもすぐに死んでしまう耐久力ものばかりで、まるで歯ごたえがない。

しかし本作のボスは鉛玉を何発ぶち込んでも全く倒れる気配すらない。
非常にタフで戦い甲斐があり、ゾンビという存在の恐ろしさを痛感させられる。


 VRでは珍しいクリーチャーらしいクリーチャーである

また興味深いのが、レベルデザインが優秀なのだ。
ラッシュ時には正面から大量のゾンビが迫ってくるのだが、
時間差でそれまで安全だった後方から、ゾンビが襲ってくる挟撃が行われたり、
正面からボスゾンビが接近してくるので後方に逃げようとすると、
その後方に大量のゾンビが登場していたりする。
単純に正面からゾンビが来るだけのゲームではなく、
このゲームの脳はゾンビのそれではなく、とても知的なのだ。 

ここまで読むと一つのゾンビゲームを連想する。
そう、このゲームはLeft 4 Deadなのだ。
あの名作をミニマムライズし、VR化したのが本作、Fastigium:Dead Endなのだ。

Left 4 Deadといえばゾンビの無限湧きがあるので、
ゾンビを処理しながらジリジリと進んでいくあのゲームプレイがあるが、
本作のラッシュも無限湧きの箇所が存在し、無理やり突破しなければ行けない時がある。


眼前には大量の敵、全てがこちらに向かって進軍してくる

前述した噛み合ったゲームデザインはここで活きる。
テレポートスライド式で大まかな移動先を指定し、移動しながらショットガンを撃ち、接近する敵は刀で斬首していく…
このスムーズでハイテンポな戦闘はVRゲームの中でも非常に珍しく、アドレナリンがドバドバ出る。


だがそんな本作でも欠点はある。
全部で3つのステージが存在するのだが、1つのステージは10分程度あればクリア出来てしまう。
つまりは30分でクリアしてしまうのだ。
前述した通り、武器の組み合わせも固定なので、
リプレイビリティも乏しく、たまにふらっと遊ぶか、接待用に寝かせておく事になるだろう。



しかしそのボリューム不足とリプレイビリティのなさは、たった498円のゲームに求めるのは酷だろう。
粗製乱造されるゾンビゲームは「ゾンビ撃つ奴の新作」と皮肉がられるが、
本作はしっかりとゾンビゲームとして面白く、また独自の切り口を持ち、確固たる存在を持っている。
その骨組みはしっかりしており、肉体も腐敗していない。
本作、Fastigiumは「Must Die」ではなく、「Must Buy」なのだから。

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