2014年12月28日日曜日

Hotline Miamiレビュー:受話器を取り上げた鶏は国家を歌う

ついに怪物タイトルと対峙する時が来た。




本Blogでも何度か示唆してきた怪物と戦う時が来たようだ。

Hotline Miamiは1989年のアメリカを舞台にした見下ろし型のアクションシューターであり
過激なバイオレンス描写に非常に恐ろしいまでのハイスピードなゲーム展開と
サイケデリックなBGM、謎めいたシナリオがカルト的な人気を博している作品だ

箱コンにてプレイ。



操作は非常に簡単
LSで移動、RSでエイミングと向き移動
RTで攻撃、LTで武器を拾う/持っている武器を投擲
RBで敵をオートロックオン、LBで遠くを注視
Aボタンで追い打ち
非常にシンプルである

ゲームのルールとしてはマップ上に居るロシアンマフィアを全員殺す事が目的で
全滅させる事によりマップクリアとなり次のフロアへと進む
それを繰り返していく事によりステージクリアとなる

アクションゲームには珍しく素手を除く
武器を使った攻撃なら一撃で相手を殺す事が出来る(極一部中ボスを除いて)
鈍器による攻撃や銃弾一発でも当たれば相手を殺せる
しかし稀に鈍器で殴りつけてもすぐに死ななず
地面を這いつくばって逃げる敵が居る
そういう敵にはAボタンで相手に馬乗りになりとどめを刺す事が出来る


脳天をかち割れ!

こちらの攻撃で一撃で倒せると書くと断然有利に思えるが
プレイヤーキャラは戦闘のプロでもないただのにーちゃんだ
こちらも同じく敵の攻撃を一度でも受けてしまうと死んでしまう
しかも敵は超反応とも言える速度でこちらを殴ったり超絶AIMで一瞬で蜂の巣にされてしまう

これの対応策として背後からの強襲となる
敵が後ろを向いた瞬間ドアや通路から飛び出し強襲をかけ
背後から素手で敵を殴りダウンを奪い馬乗りになり撲殺
敵が持っていた武器を落とすのでそれを拾う
その撲殺を見ていた敵が発砲するので
すぐに離脱するヒットアンドアウェイが定石となる
そうすれば目視されたとしても反撃を受ける機会は減る
敵が銃を持っていた場合は幸運だ、非常に強力な武器になる

しかし銃の場合は別で攻撃時に銃声が鳴る為他の敵が寄ってきてしまう
すごい速度でわらわらと大量に集まり


ご覧の通りである

あっという間に蜂の巣にされるか敵の動きに反応出来ずに撲殺されるだろう
銃は遠距離から一撃で始末出来るため強力な武器ではあるが
上記のデメリットもある


銃撃戦になり弾も尽き敵が接近してきた場合はもう一度LTボタンを押して武器を投擲
敵にぶつければダウンを奪う事が出来る
反撃するなり逃げるなり別の選択肢が生まれる

このゲームの面白い所は上記の攻防がたった数秒で展開する事
非常にハイスピードに展開してゆき、無事にフロア突破した時の高揚感はとてつもない
ハイスピードな展開にハイスピードリトライが更に拍車をかける事となる
万が一殺されてもリトライを押すだけで待ち時間なしの一瞬で直前のチェックポイントから再開出来るのが嬉しい
この高速リトライのおかげでトライアンドエラーが苦にならず
シームレスにゲームプレイが続けられ
次は別の手順で進んでみようと前向きに思わされる

死んでは殺し、死んでは殺しのトライアンドエラーを繰り返し
やがてプレイヤーは獰猛な動物へと変化し
ステージを突破する事が出来る


”仕事”が終わった後の様子を無音でマジマジと見せられるが、それもその内”日常”になる

このようにステルスゲームとしての体面もあるがステルスを強要されるわけでもない
背後を取れば有利、くらいのバランスは良い塩梅になっている

そして最初にも触れたサイケデリックなゲームミュージックの数々
それらがハイスピードなゲームに浸らせてくれる
その中でもお気に入りの曲をいくつか紹介したい





殆どのゲームでは死亡してリトライをするとBGMが最初から再生されるが
MiamiではリトライしてもBGMは巻き戻されず再生されっぱなしとなる
そのため死んでもぶつ切り感は感じず、高速リトライによりとてつもない没入感が生まれる
これらの曲を聞きながらマフィア達を虐殺していき
フロアを突破した時にはとてつもないアドレナリンが放出され
とてつもない中毒性が感じらる、それはさながら電子ドラッグのようだ


電子麻薬を全身に受けながら殺しを行うのは宛ら快楽殺人犯かのよう



そしてここからはシナリオについて切り込んで行きたいと思う

Hotline Miamiの主人公(通称Jacket)はどこにでも居る普通の青年だ
ふと目を覚ますと見知らぬ暗い部屋に居る事にJacketは気がつく


死体が散らばる謎の部屋

彼は部屋の奥に進む
すると動物のマスクを被った三人に出会う


分かり辛いが左右に二人居ます

動物のマスクを被った三人から自分が何故ここに居るかを聞かれるが
全く記憶に無いJacketは困惑する
そんなJacketの奥底にある記憶を呼び覚ますように
マスクの三人は彼の行動を回想させる…

1989年の4月
Jacketはある日、自宅の電話に残されていた留守番電話のメッセージを再生する


新着の留守番電話メッセージが一件あります。ピー!

その内容とは殺人を示唆する物だった
そして同時にJacketの部屋に小包が届いておりその中身を開けると


三人のうちの一人と同じ鶏のマスクが

そして彼はそのままターゲットであるロシアンマフィア達の元へと向かい
そのマスクを被ってマフィア達を殺していく毎日が始まる
しかしその中で彼の日常が少しずつ軋み・歪んでいき…?
というのが本作のミステリアスなあらすじだ

Jacketは日に日に録音されている受話器を取り上げ殺人依頼のを聞きマフィアの元へ向かい
ゲームパートが始まり、帰路へと付く
というのが基本的な流れになるのだが

このゲームの最も恐ろしい部分がこのミステリアスなシナリオだ

来る日も来る日も殺人を繰り返すJacket(=プレイヤー)に
何故人殺しをするのか?と疑問を投げかける提示や
敵を撲殺した時に使った鉄パイプが手に馴染む理由
過激なバイオレンス描写、何故敵は全員同じ姿なのか
ゲームをプレイするにつれプレイヤーとJacketとの精神がリンクしていくという様や
終盤に行くに連れ難易度が急上昇していくというゲームの構造や
死んだらリトライというゲームシステム…
ゲーム中のありとあらゆるもの
それらをもゲームのシナリオに組み込んだのは素晴らしいと言わざるを得ない

ゲームという媒体を逆手に取り
ゲームでしか成し得ないシナリオ・手法は宛らBIOSHOCK1のよう。

ゲームプレイ、シナリオ、BGMなどありとあらゆる要素が全て高レベルであり
全てが完全に噛み合い歯車のように回っている
それこそ奇跡のようなバランスで存在している作品である

どれか一つでもかけてしまったら良ゲーにはなったとしてもここまで高次元の完成度には辿り着かない
そして2015年のQ1にリリース予定である続編
Hotline Miami:2であったとしても
この奇跡のようなバランスの高みまではたどり着けないであろうと思う
敵を撲殺する度に手に馴染んでいくのを感じた鉄パイプや刀
敵を撃ち殺す度に手に馴染んでいくのを感じたアサルトライフルやショットガンに対して
いくら敵を斬ったり投げたりしたとしても手に馴染まず、愛する事が出来なかった中華包丁のように。


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